質草って一体なに?
質屋には専門用語が多くあることから、初めて質屋を利用する方などは戸惑ってしまいますよね。
これらの問題を全て解決するべく、名古屋の質店に在籍するプロのウェブ運営スタッフが質屋の相場について細かく解説していきます。
この記事では以下の内容について詳しくわかるようになります。
「質草」の読み方は「しちぐさ」です。質草は、質屋で品物を担保にしてお金を借りる際に、その品物として預けられるものを指します。この「質草」という言葉は、日本の質屋業界において広く使われる専門用語で「質草」という言葉を辞書や辞典で検索すると、
“質屋に品物を預けることで借金を担保するための品物を指す言葉”
として定義されています。類語辞典には、「質物」(しちもつ)や「質種」(しちだね)とも呼ばれるとの記載がありますが、実際私たち質屋の間ではあまりこれらの言葉は使うことはありません。
この「草」には物や材料という意味があるため、質屋に預け入れる物で質草と呼ばれるようになりました。
質屋は、生活に役立つ便利な金融サービスを提供する一方、他の金融サービスとは異なり、借り手が返済できない場合でも質草が担保となるため、債務が残らないという点が消費者金融とは異なる特徴です。多重債務とならず、かつ取り立てや催促などもありません。
質草として預けられる品物は、腕時計や金、貴金属などが一般的ですが、質店によっては独自の品物が質草として扱われることもあります。これら独特な質草については後ほど詳しくご紹介します。以外な品物が質草となりますので、今すぐにお金が必要な方には朗報となるかもしれません。
質草として利用される品物には多様な種類があります。一般的に、質屋で質草として好まれるのは「小型で高い価値を持つもの」です。これは、質屋が一定期間にわたって質草を安全に保管する必要があるため、保管スペースの効率を考慮した結果です。質屋には質草を収容できる倉庫のスペースに限りがあるため、保管場所を取らず高価なものが特に適しています。
主な質草としては、腕時計や金、ブランドバッグ、貴金属、宝石など「価値の高いもの」が多く、質屋の取引の中心となっています。さらに、これらに加えて「実用的な品物」も質草として扱われることがあります。これは、「実用的な品物」は再販しやすいからです。質屋が融資の際に担保として預かった品物が、万が一返済されなかった場合、質草の所有権は質屋に移り再販できるようになります。質草として扱われる品物が再販しやすいものであることは、質屋のキャッシュフローを安定させ、持続的な運営を可能にします。そのため、実用性が高く需要のある品物も質草としての条件を満たしており、質屋にとっても非常に重要な存在といえます。
腕時計
価格帯:10万円〜300万円
特にブランド腕時計は、デザイン性やブランドの希少価値が評価され、高額な査定が期待できる質草の一つです。高級腕時計の中でも、ロレックスやオメガを含む有名ブランドは、時計市場や中古市場で安定した価値を維持しており、質屋での借り入れを考える人にとって人気が高いアイテムです。時計の状態や購入時期、オリジナルの保証書や箱の有無も査定に影響し、これらが揃っているとさらに高い査定額が付く可能性があります。
貴金属
価格帯:5万円〜1000万円
金やプラチナ製品は、価値が安定しているため質草として頻繁に利用されます。金やプラチナは地金としての価値が重視され、製品が壊れていても純度や重量で評価されるため、どのような状態でも一定の価値が期待できます。特に金製のアクセサリーやブレスレット、ネックレスなどは、高い純度のものほど査定額が上がる傾向にあります。また、ブランドの刻印があるものはデザインの評価も加味され、高額な質草となることが多いです。
ブランド品
価格帯:1万円〜50万円
エルメスのケリーやバーキン、シャネルのマトラッセショルダーなどの定番ブランドバッグやジュエリーも多くの質屋で取り扱われます。こうした普遍的なデザインのアイテムは、トレンドに左右されにくく、再販価値も安定しています。ただし、一般的なブランド品はファッションの流行に影響を受けやすく、その場合は評価額も低めに設定されることがあります。特に近年はキャッシュレス化の影響でブランド財布の価値がやや下落傾向にある点も注意が必要です。
カメラ・レンズ
価格帯:1000円〜50万円
カメラ本体やレンズは、質草として取り扱う店舗が一部に限られるものの、高額査定を受けられる場合があります。特にライカやキヤノンのプロフェッショナル機材は、根強い人気と中古市場での需要が高く、専門的な査定が行われます。カメラの状態や型番、レンズの有無、さらにオリジナルケースが揃っているかも査定に影響するため、これらを確認しておくと有利です。
電動工具
価格帯:3000円〜10万円
電動工具は流動性が高く、マキタや日立などの人気ブランド製品は質屋でも需要があります。マキタ製品はバッテリーの互換性があるため、多くの種類の工具に使える利便性が評価され、職人やDIY愛好家に人気です。電動工具は一品ごとの査定額がそれほど高額にはならないことが多いため、複数のアイテムを一度に持ち込むケースも増えています。また、バッテリー単体でも質草として査定対象に含まれます。
釣具
価格帯:4000円〜15万円
釣具は一部の質屋で取り扱われており、特に自粛期間中のアウトドアブームで釣り人口が増えたことから、再販価値が高まりました。シマノやダイワといったメーカーのベイトリールは高額査定が期待でき、2〜3万円の価値がつくこともあります。高価なロッドも質草として取り扱われ、シーズンオフに預ける方が増えています。
家具
価格帯:1000円〜15万円
ブランド家具も質草の対象です。ただし、使用感のあるものや量販店で販売されている家具は査定額が低くなることが多く、高級ブランド家具や特注品などが中心です。特にアルフレックスやカッシーナなど、デザイン性が高く流行に左右されにくいものは価値を維持しやすく、良好な状態であれば高額査定が期待できます。
iPhoneやiPad
価格帯:3000円〜20万円
iPhoneやiPadは、年々性能が向上し価格も高騰しているため、質屋での人気が高まっています。特に最新モデルや高容量モデルは高額査定の対象です。ただし、キャリアロックがかかっているもの、他人の名義になっているもの、画面割れや動作不良があるものは取り扱い不可になる場合があります。査定前に正常に動作するか確認するとよいでしょう。
お酒
価格帯:1000円〜50万円
未開栓のウイスキーやワインなどの高級酒も質草となり、特に人気のある和製ウイスキー(山崎、響など)は高値で取引されています。ただし、保存状態や液量が減少しているものは評価が下がります。中にはヴィンテージワインなども質草として扱われますが、保管状態が査定に大きく影響するため、専門的な知識が必要です。
電化製品
価格帯:1000円〜10万円
洗濯機や冷蔵庫、エアコン、テレビなどの電化製品も一部の質屋で取り扱いが可能です。ただし、年式が古いものや、大型で持ち込みが難しいものは査定対象外とされる場合があります。家電を持ち込む際は、事前に電話で確認するのがおすすめです。
在庫商品
価格帯:1万円〜400万円
特に建築関連の在庫商品や未使用の家電、店舗での在庫品も質草として取り扱われることがあります。ただし、これらを扱うのは限られた質屋であるため、取引希望の場合は在庫商品を取り扱っている質屋を確認すると良いでしょう。
パソコン
価格帯:1000円〜10万円
パソコンも質草として取り扱われますが、状態やスペックによって査定額が大きく異なります。特にゲーミングPCや高性能のノートパソコンは人気が高く、査定額も上がりやすいです。ただし、動作確認やデータ消去など、質屋によって取り扱い条件が異なる場合があるため、事前に相談しておくことが推奨されます。
キャンプ用品
価格帯:1000円〜5万円
アウトドアブームの影響で、キャンプ用品も質草の対象となりつつあります。特にスノーピークやコールマンといった有名メーカーのテントやバーナーなどは、再販市場での需要が高く、数万円の査定がつくこともあります。シーズンオフに預けて現金化する利用者も増えており、綺麗な状態であれば高額査定が期待できます。
このように、質草として取り扱われる品物は多岐にわたり、生活の中で意外なものが高価な質草として評価されるケースも増えています。
質屋で取り扱いのある質草の種類を確認するには、質屋が提供するウェブサイトで確認しましょう。多くの質屋は自社のページで「取り扱い品目一覧」を公開しており、どのような品物が質草として利用可能かを確認できるようになっています。また、質屋によっては、特定の品物についての「査定例」や「取引事例」をページに掲載していることもあり、利用者が自身の品物がどれくらいの価値になるのかを事前に把握できるような工夫がされています。こうした情報は、利用者が質屋を安心して利用するために非常に役立ちます。
これらの質入れにおすすめの品物については「質預かりにおすすめの意外な商品9選!名古屋の質屋スタッフがご紹介」でさらに詳しいブランドなどもご紹介していますのであわせてご覧ください。
以上のように、質草として利用される品物の種類は多岐にわたりますが、質屋によって取り扱われる品物の基準や査定の方法には差があるため、事前にその質屋の方針を確認することが重要です。質草の種類や価値を理解することで、質屋での取引がよりスムーズに進むだけでなく、利用者のニーズに合った最適な取引ができるようになります。
質草を活用した質屋での取引は、利用者の財産を一時的に預かり、それを担保として資金を貸し付ける形で成立しています。この担保となる財産を「質草」と呼び、日本では「質屋営業法」という法律に基づいて厳密に規制されています。ここでは、質草に関する法的な側面について、利用者が知っておくべきポイントを詳しく解説します。
質屋営業法は、質屋が質草を預かる際の取引方法や手順、さらには質草の取り扱いについて細かな規定を設けた法律です。この法律は、質屋が不正や不当な取り扱いを行わないように監視し、利用者が安心して質屋を利用できる環境を整えるために施行されています。この法律に基づき、質屋は公正で透明な取引を行う義務を負い、質草の保管や取扱いにも特別な注意が払われています。質屋営業法の重要な条文をいくつか挙げ、それぞれの内容について見ていきましょう。
質屋営業法の第一条には、以下のように規定されています
"質屋営業とは、物品を質に取り、流質期限までに担保される債権の弁済がなされないとき、その質草を用いて弁済に充てる営業を指す。"
質屋営業法 第一条
つまり、質屋で借りた資金を返済できない場合、質草は自動的に質屋の所有物となり、質屋はその質草を売却して資金を回収する権利を持ちます。この仕組みにより、利用者は返済不能になった場合も、金融機関のローンとは異なり債務が残らず、安心して質屋を利用できるという特徴があります。
質草の保管に関しても、質屋営業法の第七条で以下のように定められています
"公安委員会は、火災や盗難の予防が必要と認める場合、質屋の保管設備に関する基準を定めることができる。"
質屋営業法 第七条
質屋は、質草を厳重な管理下で保管するために、専用の「質蔵」と呼ばれる保管設備を所有しなければなりません。この設備は単なる倉庫ではなく、公安委員会の定める厳しい基準を満たした施設でなければなりません。具体的には、防火対策や盗難防止、さらにネズミや害虫の侵入を防ぐための措置が徹底されており、質草が安全に保管される環境が整っています。このように、利用者は質屋に質草を預ける際、保管の安全性についても安心できる仕組みが整備されています。
質屋営業法の第十五条では、質屋が質草を預かった際の証明方法が規定されています
"質屋は、質契約が成立した際には質札または通帳を利用者に交付しなければならない。"
質屋営業法 第十五条
質草を預けた場合、質屋は「質札」と呼ばれる預かり証を発行します。質札には、質草の種類や点数、借入金額、利息、返済期限など、取引内容が明記されており、利用者はこれを確認することで取引の詳細を把握できます。この質札は質草を引き取る際にも必要となる重要な書類です。紛失すると再発行が難しい場合があるため、取引終了まで大切に保管しておきましょう。
質屋営業法の第十六条では、質草の預かり期間について次のように規定されています
"流質期限は、質契約が成立した日から3か月未満で定めてはならない(ただし、利用者が業者であり、預ける品物がその業者の取り扱い品である場合は1か月未満で定めてはならない)。"
質屋営業法 第十六条
つまり、通常の利用者が質草を預ける場合、基本的には3か月間の預かり期間が保証されるということです。ただし、この「3か月」のカウント方法や詳細は質屋によって異なる場合があるため、契約時に確認しておくと安心です。
質屋営業法の第十七条では、利用者が質草を取り戻す手続きについて以下のように定められています
"流質期限前であれば、利用者はいつでも元利金を弁済し、質草を取り戻すことができる。"
質屋営業法 第十七条
つまり、流質期限前であれば、借入額とその利息を返済することで、いつでも質草を引き取ることが可能です。返済時には質札を提示し、取引の証明としての手続きを行います。質札を紛失した場合、質屋が利用者確認のために追加の手続きや身分証明書の提出を求めることもありますので注意が必要です。返済の計画を立て、流質期限に間に合うようにすることで、安心して質草を取り戻すことができます。
多くの質屋では、返済期限を延長するサービスも提供しています。一般的に、返済期限を更新するには、1ヶ月単位の利息を支払うだけです。たとえば、10万円を7%の利息で借りた場合、返済期限に1ヶ月分の金利7000円を支払うことで1ヶ月期限を延長することができます。そして、次の月の期日に返済期限までの利息と元金を支払うことで質草を取り戻すことができます。
しかしこのように延長には追加の利息が発生し、その条件も質屋によって異なります。返済が難しい場合は、早めに質屋に相談することで、延長手続きや返済プランの見直しが可能かどうか確認することが望ましいでしょう。質屋のスタッフは、利用者の返済状況や事情を考慮し、柔軟に対応してくれる場合もあります。
このように、質草にまつわる取引は質屋営業法によって保護され、利用者が安心して利用できるようになっています。質屋の利用は短期間の資金調達としてのメリットがある一方で、返済期限や各質屋で提示される条件を借入者が自分で十分理解しておくことが重要です。質屋営業法に基づく取引は、日本国内で古くから信頼されており、現代においても信頼性の高い金融手段としての地位を確立しています。利用者はこうした法律や制度を理解することで、質屋での取引がより安全でスムーズに行えるでしょう。
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